原発支援へ補助制度案?やはり嘘だった「発電コストが安い原発」

新聞に「原発支援へ補助制度案」という見出しがありました。
経済産業省が考えていることですが、発電事業者と電力小売事業者との間で取引する際の市場価格に、原発については一定の価格上乗せを許す制度。
当然ですが、その上乗せされた金額は私たちの電気代にも反映されます。
原発は発電コストが安いから「ベースロード電源」として優遇されていますが、それは全くの嘘だってことですね。
福島第一原発の事故以来、これまで以上の安全対策費用などが必要となり、原発の発電コストは高くなっています。
核のゴミの最終処分、福島第一原発の廃炉などを考えると、原発のコストが今度ますます上がり続けることは明白。
それを今回の補助制度などで、まかなおうとしているわけです。
今こそ「原発NO!」を決めないと、取り返しがつかなくなります。
これから行われる選挙では、原発反対の候補者を選びませんか。
原発を優先し、太陽光発電をの「出力制御」を行う発電事業者
九州電力による、太陽光発電を行う再生可能エネルギー発電事業者に対する一時的な発電停止である「出力制御」が常態化しています。
鹿児島県にある川内原発2号機の通常業務運転再開依頼、珍しいことではなくなりました。
暑かった8月が終わり、9月以降は、冷房などの電力消費が減るでしょう。
その時に九州電力は、「原発の再稼働をやめておこう」とは考えず、「太陽光発電の買い取りをやめよう」と考えたわけです。
「ベースロード電源」などと言われますが、原発は「発電コストが安く、出力が安定している」という理由で、最後まで出力制御の対象としないのです。
例えは変ですが、高い金をかけ獲得した、駄目な助っ人外国人を、4番バッターで使い続ける球団みたい。
開幕早々に故障したり、守備でエラーしたり、問題を起こしても、助っ人外国人ということで、優先して使い続けます。本当は、将来有望な若い選手が、沢山いるのに。
まぁ、そんな球団は、Bクラスで終わるでしょうが。
原発は発電コストが安いという幻想
原発には、通常の発電所よりも非常に高額な安全対策費が必要です。
長い間赤字に苦しんだ九州電力にしてみれば、燃料費という一時的な費用を削減できる原発が、一番儲かる発電方式になるのでしょう。
また、他国への輸出含めて、国が原発を推進していることも、大きな原因です。原発を「出力制御」の対象としないのは、国が定めたルールですから。
しかし、長い目で見れば、原発が安いとは言えないことは明らかです。
原発で使った核燃料を再処理したあとに出る、高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分場所も決まりません。
廃炉と同じで、どんなに高額な費用が必要になるかも、誰も正確には判らないでしょう。
原発は大振りばかりする駄目な4番バッター
太陽光発電を中心とした、再生可能エネルギーの発電能力は、季節や天候に左右されます。
だから、すべてを原発で!というのは、前にも書いた通り、一番避けるべき考え方です。
再生可能エネルギー発電の変動に対し、他の発電方式が柔軟に対応することで、全体の最適化を行うことが重要。
では、柔軟な対応を、原発が出来るか?
残念ながら、原発は「駄目な助っ人外国人の4番バッター」なのです。
起動や停止に時間はかかるし、稼働したら大出力を発生するが、調整は難しい。たまにホームランは打てるけど、右打ちや送りバントなどの、チームプレーは出来ません。
現時点では、チームや試合の状況を見ながら、柔軟なバッティングが出来る「優れた選手」は、火力発電なのです。
燃料費がかかるという理由で、火力発電を電力会社は嫌いますが、「発電能力が変動する再生可能エネルギー + 柔軟な対応が出来る火力発電」が最強の組み合わせ。
当然、CO2排出量を減らすため、将来的には火力発電も減らし、再生可能エネルギーの比率を高めるべきでしょう。
再生可能エネルギーへの費用負担は納得できても、原発支援はありえない
2011年3月に、東日本大震災が発生し、全国の原発は停止。
九州電力でも、2012年から2014年までの3年間、玄海原発、川内原発の発電電力量は、ゼロになりました。
しかし、その3年間でさえ、私を含めて、九州の人間は無事に暮らせたのです。
2017年度の九州電力における電源構成は、以下の通り。
- 原子力:16%
- 火力:63%(LNG:31%、石炭:29%、石油:3%)
- 水力:4%
- FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)電気:11%
- 再生可能エネルギー(FIT電気以外):5%
- その他:1%
FIT電気に「停止要請」するのではなく、それを更に推進することで、原子力発電を無くすことを、私たちは目指すべきです。
残念ながら、火力発電の燃料費、FIT電気を調達する費用の一部は、私たちが支払う電気代にも反映されます。
しかし、廃炉まで含めた、いつ終わるかも知れない原発の費用負担を、子供や孫に押し付けることができるでしょうか。
一時的に増える負担を我慢してでも、今こそ「原発廃止」を訴える時です。