『終わった人』サラリーマンは「成仏」しないと終われない!早期退職では?

2018-07-15

定年退職後も歩き続けるイメージ

定年前後の皆さん、こんにちは。

皆さんが抱える悩みや気になることを、私と一緒に解決していきましょう。

今回、内館牧子さんの著書『終わった人』を読みました。

主人公の田代壮介を舘ひろしが演じ、中田秀夫監督により映画化もされました。

著者の内館牧子さんといえば、日本相撲協会の横綱審議委員ってイメージが強いですよね。本業は脚本家、作家ですので、多くの本を出されており、この本も大変リズムよく、楽しく、読み進めることができました。

定年退職した銀行マンが主人公なので、一般的なサラリーマンとは少し違った面もありますが、男として「判るなぁ」ってことが沢山です。

銀行マンは大変!?

主人公は東大を出てメガバンクに就職し、順調に出世していたものの、49歳で同期のライバルとの競争に敗れ、関連会社へ出向、その後は転籍。

社員数30名の関連会社の専務として、サラリーマン人生最期である定年退職日を迎えるところから、ストーリーは始まります。

私の知り合いにも、元銀行マンがいますが、まさに50歳前で将来が決まる、銀行本体に残れなければ、関連会社への出向、転籍になるということを話していました。

銀行のすごいところは、なかなか良いポジションで出向、転籍ができることです。この本の主人公も、一応、専務取締役として、63歳まで関連会社に勤めてますもんね。

しかし、銀行で、大きなプロジェクトや、国内外の大企業相手に、すごい金額を動かす仕事をしていたのに、関連会社へ出向した途端、リスクも責任も伴わない、つまり面白くもない仕事に就く。

安定した生活という面では良いのでしょうが、やりがいという意味では、やはり物足りないでしょう。

一般的なサラリーマンで考えると、55歳の役職定年を境に、バリバリの現役、現場を離れ、裏方的な作業に就く感じでしょうが、銀行マンの場合は、それが早い時期に訪れ、強烈な「分かれ道」になりますね。

定年退職しても、サラリーマンとして成仏していない?

この本の主人公は、関連会社への出向となった49歳以降、サラリーマンとして燃え尽きることができずに、63歳の定年を迎えたようです。

ジムに体を鍛えにいっても、カルチャースクールで学んでも、なんだか満足できない。まだ俺は、現役バリバリのサラリーマンでやれるのに!という気持ちがおさまりません。

走って、走って、走り続けていたのに、49歳という若さで、突然目の前から道が無くなり、ずっと足が空回りしていたのでしょう。「サラリーマンとして成仏できていない」という表現が印象的でした。

通っていたジムで、IT関連の若い社長に頼まれ、顧問の役を引き受けます。やっと、やりがいを持てる仕事に出会え、10数年ぶりに燃えて働くことができますが、最終的には、その後の成り行きで、IT関連会社は倒産。主人公には、9千万円もの個人負債が残るのです。

しかし、たった1年程度でしたが、燃え尽きるまで働き、やっとサラリーマンとして成仏できたと感じ、これからは「主夫」として生きると決める主人公。

あまりにも波乱万丈なストーリー展開ですが、サラリーマンとして、自分中心でしか物事を考えられず、走り続けるしかなかった男が、やっと他人の優しさを理解し、変わっていく様は、誰にでも当てはまるように感じました。

まとめ

最後に主人公は、実家の母親、地元の同級生、そして妻や娘と、やっと素直な気持ちで話せるようになります。

妻とは別居、卒婚して、故郷へ戻るところで物語は終わりますが、きっと、これからは、本当にやりたいことを見つけ、地元の役に立てることに生き甲斐を感じて、暮らしていくのだろう、と思えるエンディングです。

サラリーマンにとって、リスクや責任が大きい仕事は、一種の麻薬やギャンブルのようなものかも知れません。

一生、何の問題もなく、続けていければ幸せでしょうが、どこかで破綻して、とんでもないしっぺ返しを食らうのであれば話は別。

なるべく早いタイミングで考え方を切り替え、本当にやりたいこと、一生続けられることを見つけたいものです。

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